お子様からお年寄りまで不特定多数の方が利用するプールは、快適で衛生的に施設を利用できるよう法令に則った水質検査が必要です。この記事では、なぜプールの水質検査が必要なのか、どのような検査をすればよいのかをご紹介します。
プールの水質検査はなぜ必要なの?
お子様からお年寄りまで不特定多数の方が利用する、遊泳用プールや学校のプールは、利用者が快適で衛生的に施設を利用できるよう、定期的に水質検査をすることが求められます。
プールは、入泳者によって常に汚染されています。汗や垢、日焼け止めやヘアオイルなどは、プールの水質を悪化させます。プール水には細菌類の増殖を防ぐため、塩素系消毒剤などを使用しますが、消毒副生成物(トリハロメタン)の発生が懸念されます。
また、気泡浴槽や採暖槽等の設備、その他エアロゾルを発生させやすい設備又は水温が比較的高めの設備がある場合(温水プールやジャグジーなど)では、レジオネラ属菌による汚染も懸念され、レジオネラ属菌の検査が必要となる場合があります。
プールの水質検査はどんな検査をすれば良いの?
プールの水質検査は、遊泳用プールの衛生基準か、学校環境衛生基準のどちらかに基づいて検査をする必要があります。
遊泳用プールとは、水を貯留して多数の人に遊泳させる施設をいいます。学校教育法第1条に規定される学校※に設置されているプールは除きます。
学校用プールとは、学校教育法第1条に規定される学校※に設置されているプールを言います。
※学校教育法第1条に規定される学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、盲学校、聾学校、高等専門学校を指します。
1.遊泳用プールの水質検査
検査項目 | 水質基準 | 検査頻度 |
水素イオン濃度 | 5.8以上8.6以下であること | 毎月1回以上 |
濁度 | 2度以下であること | |
過マンガン酸カリウム消費量 | 12mg/L以下であること | |
大腸菌 | 検出されないこと | |
一般細菌 | 200CFU/mL以下であること | |
遊離残留塩素濃度 ※1 | 0.4mg/L以上であることまた、1.0mg/L以下であることが望ましい | 毎日午前中1回以上、午後2回以上 ※3 |
総トリハロメタン | おおむね0.2mg/L以下であることが望ましいこと | 毎年1回以上 ※4 |
レジオネラ属菌 ※2 | 検出されないこと | 年1回以上 |
※1 二酸化塩素により消毒を行う場合は、二酸化塩素濃度は0.1mg/L以上0.4mg/L以下であること。また、亜塩素酸濃度は1.2mg/L以下であること。
※2 気泡浴槽、採暖槽等の設備その他のエアロゾルを発生させやすい設備又は、水温が比較的高めの設 備がある場合検査を行う。
※3 このうち1回は、遊泳者数のピーク時に測定することが望ましい。
※4 通年営業、夏季営業のプールは6~9月、それ以外の時期に営業するプールは水温が高めの時期に検査を行う。
2.学校プールの水質検査
検査項目 | 水質基準 | 検査頻度 |
pH値 | 5.8以上8.6以下であること | 1 回/使用日の積算が30 日以内ごと |
濁度 | 2度以下であること | |
過マンガン酸カリウム消費量 | 12mg/L以下であること | |
大腸菌 | 検出されないこと | |
一般細菌 | 1mL中200コロニー以下であること | |
遊離残留塩素 | 0.4mg/L以上であることまた、1.0mg/L以下であることが望ましい | |
総トリハロメタン | 0.2mg/L以下であることが望ましい | 1 回以上/使用期間中の適切な時期 |
循環ろ過装置の処理水(濁度) | 循環ろ過装置の出口における濁度は、0.5 度以下であること。また、0.1 度以下であることが望ましい。 | 1 回/毎学年 |