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給排水設備の基礎知識から設備の耐用年数までを徹底解説!
給排水設備のメンテナンス/緊急対応

給排水設備の基礎知識から設備の耐用年数までを徹底解説!

2025.04.11

  • 設備改修工事

給排水設備とは、建物内で水を安全に供給し、使用後の水を適切に排出するための重要な設備です。住宅やマンション、ビルなど、あらゆる建物に欠かせない存在であり、私たちの快適な日常生活を支えています。

しかし、給排水設備の仕組みや耐用年数、設備の仕組みなどについて、正しく理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。給排水設備が正常に機能しなければ、水道の使用に支障が出るだけでなく、衛生環境の悪化や建物の劣化につながる恐れもあります。

本記事では、給排水設備の基礎知識から、設備の耐用年数やメンテナンスの重要性、工事のポイントまで、分かりやすく解説します。給排水設備の正しい知識を身に付けることで、トラブルの予防や計画的なメンテナンスに役立つはずです。ぜひ最後までご覧ください。

給排水設備とは

給排水設備は、大きく「給水設備」と「排水設備」の2つに分けられます。給水設備は上水道から建物へ水を供給するシステムで、排水設備は汚水や雑排水を下水道へ排出するシステムです。給水設備と排水設備は、密接に連携し、快適な居住環境に貢献しています。

そのため、定期的な点検や適切なメンテナンスにより、長期間にわたって安定した機能を維持することが可能です。以下では、排水設備について詳しく見ていきます。

排水設備

排水設備は、建物内外からの汚水や雨水を効果的に排出し、衛生的で快適な生活環境を維持するために欠かせないシステムです。適切な排水設備の設置・管理は、建物の耐久性や住環境の質を大きく左右します。

排水管

排水管は、家庭や建物で発生する汚水や雨水、雑排水などを建物の外へ安全に排出するための配管です。設計や素材選定が適切であれば、排水トラブルも少なく、衛生面と建物の耐久性が向上します。なお、排水管には「汚水管」「雑排水管」「雨水管」など、複数の種類があり、それぞれで用途が異なります。

排水管の多くに設置されている排水トラップは、屋内への悪臭や害虫の侵入を防ぐ仕組みとなっています。また、排水管の配置と施工の質が、快適な生活空間を保つポイントです。以下では、排水管の種類について解説していきます。

汚水管

汚水管とは、トイレから排出されるし尿などの汚水を衛生的に、かつ確実に屋外へ導くための排水管です。給排水設備工事で扱う配管の中でも、特に衛生面の配慮が問われます。汚水管には、PVC(硬質塩化ビニル管)や、耐火二層管、鋳鉄管(CIP)、SGP配管など、耐腐食性素材が用いられています。

敷設時においては、十分な勾配と密閉性の確保が不可欠です。また、漏水や破損があると、悪臭や衛生面でのトラブルにつながるため、定期的な点検・メンテナンスも重視されています。汚水管の設置と管理は、快適で清潔な暮らしを維持する基本要素です。

雨水管

雨水管は、屋根やバルコニー、ベランダ、外壁などから流れる雨水を、安全に建物の外部へ集めて排出するための配管です。雨水の管理には、建物周辺の浸水や地盤沈下といったリスクを軽減する役割があります。なお、雨水管には、塩化ビニル管やコンクリートなど、耐候性・耐水性に優れた素材を使用するのが一般的です。

また、雨水管を設置するに当たり、勾配や排出口の位置・配管径の選定が重要です。適正に計画・施工することで、排水障害や損傷を未然に防げます。快適な環境維持と建物の長寿命化には、雨水管が欠かせないのです。

雑排水管

雑排水管とは、台所や洗面所、浴室、洗濯機から出る排水を流す配管です。トイレの排水とは別で、生活雑排水を効率よく排出し、建物の衛生環境を保つ役割があります。雑排水管は、汚水管や雨水管とともに管理され、全体の排水システムの効率化に寄与します。

また、設計や施工の精度次第により、詰まりや逆流などのトラブルを予防できるため、適切な施工と定期的な点検が必要です。雑排水管の適切な管理は、快適な生活環境の維持につながります。

通気管

通気管は、排水管内の空気圧を適切に調整し、排水の流れを円滑にする役割を担います。通気管が必要な理由は、排水管内での圧力変動を防ぐためです。通気管がないと、排水時に配管内が負圧となり、排水トラップの封水が破れてしまいます。結果として、下水からの悪臭や害虫の侵入を招く恐れがあるのです。

なお、建物の規模に応じて、通気管の通気方式を選択します。戸建住宅では伸頂通気方式が、オフィスビルではループ通気方式が多く採用されています。ほかにも、各個通気方式や特殊継手排水方式など、さまざまな方式があるため、適切に選択すれば排水システム全体の性能が向上するでしょう。

排水槽・排水ポンプ

排水ポンプは、重力による自然排水が困難な建物において不可欠な設備です。地下階や半地下構造の建物では、排水を下水管へ自然流下できないため、排水ポンプを用いて汲み上げ排水を行います。排水槽は、排水量や用途に応じて設置される設備であり、排水ポンプと組み合わせて使用されることが一般的です。

一つは、トイレなどからの排水を貯留する「汚水槽」、もう一つは、キッチンや洗面台などからの生活排水を貯留する「雑排水槽」です。
このほかにも、周辺環境によって地下水や湧き水を処理する湧水槽や、雨水を一時的に貯留する雨水槽などがあります。
これらの排水槽は、それぞれの用途に応じて適切に分離・設置する必要があり、建築基準法をはじめとする関係法令に基づいた設計・施工が求められます。

排水ポンプは、水位制御やタイマー制御による自動運転が一般的で、排水槽内の水位が一定に達すると作動する仕組みです。排水が長時間滞留すると腐敗による悪臭や衛生問題が発生するため、数時間以内に排水されるよう設計されています。

また、ビル管理法において、特定建築物の排水槽は6か月以内に1回以上(年2回以上)の清掃が義務付けられています。なお、設備の規模や使用状況によっては、衛生維持や設備保全の観点から、年3回程度の清掃を推奨する場合もあります。
清掃や点検を怠ると、悪臭の発生や排水管の詰まり、ポンプの故障につながる恐れがあるため、専門業者による定期的なメンテナンスが重要です。

給排水設備の重要性

給排水設備は、人間が健康的に生きる上で欠かせない水を守るという重要な役割を担っています。

快適な生活環境の維持

給排水設備は、家庭内の水の供給と排出を円滑に行うために欠かせません。清潔な水の供給や効率的な排水システムにより、日常生活が快適に過ごせます。

衛生面の確保

適切な給排水設備は、衛生的な環境の維持に直結しています。排水の適切な処理により、細菌やウイルスの繁殖を防ぎ、健康リスクを軽減します。また、清潔な水の供給は、感染症の予防にも貢献します。

建物の耐久性向上

給排水設備が適切に設置・維持されていると、建物自体の耐久性が向上します。漏水や水害のリスクを最小限に抑えることで、建物の構造部分へのダメージを防ぎ、長期間にわたって安心して暮らすことができます。

エネルギー効率の向上

効率的な給排水システムは、エネルギー消費の削減に役立ちます。上階や遠方に水を送るためには、ポンプで圧力をかける必要があり、電力を消費します。そのため、非効率な配管レイアウトや、過剰な揚水高さ、旧式のポンプユニット利用は、ムダなエネルギー消費につながります。また、排水槽の設計や運転効率が悪いと、余計な電力や保守コストも発生します。

給水ポンプユニット交換工事による省エネの事例はこちら

災害時の対応力向上

地震や台風などの自然災害時においても、安定した給排水システムは重要な役割を果たします。迅速な水の供給や排水機能により、災害時の生活基盤を支えることができます。

給排水設備の耐用年数

以下では、給排水設備などの耐用年数や、影響を与える要因、耐用年数を延ばすための対策について見ていきましょう。

給水設備の耐用年数

給水管の耐用年数は、素材によって大きく異なります。一般的には、ステンレス管、ポリエチレン管(PEX管)は約30年、硬質塩化ビニル管(VP管)は約20~25年、耐衝撃性塩化ビニル管(HIVP管)は約30年、ポリブテン管(PB管)は約30~40年とされています。

耐用年数を超えると、水漏れ・破裂・赤水(サビ水)・流量低下などの不具合が発生することがあり、気づいたときには大規模修繕が必要になってしまうケースもあります。

排水設備の耐用年数

排水設備に使用される排水管の耐用年数も素材に依存します。鋳鉄管(SML管など)は30~50年、塩化ビニル管(VP管)は約20~30年、ステンレス排水管は約30~40年とされています。また、排水ポンプの耐用年数は10年前後が一般的です。

貯水槽の耐用年数

受水槽と高置水槽の耐用年数は材質や設置環境により異なります。一般的に、ステンレス製の貯水槽は約25~30年、FRP(繊維強化プラスチック)製のものは約15~20年、RC造(コンクリート製)は約30〜40年(内部の防水処理の耐用が別途必要)の耐用年数があります。

建物に飲料水を供給する為に使用される有効容量が10㎥を超える貯水槽(簡易専用水道)は、水道法により、年に1回以上の定期的な清掃と水質検査が義務付けられています。 また、各自治体の条例により自己点検結果の報告を速やかに保健所に報告する事も必要です。

簡易専用水道検査について詳細はこちら

給水ポンプの耐用年数

給水ポンプには揚水ポンプ、増圧ポンプ、そして加圧ポンプがあり、それぞれの耐用年数は異なります。揚水ポンプは約10~15年、増圧ポンプは約10年が一般的な耐用年数で、加圧ポンプは使用頻度や環境により異なります。

給湯設備の耐用年数

給湯器の耐用年数はタイプによって異なります。ガス給湯器は約10年、家庭用電気温水器は法定耐用年数6年、石油給湯器は約20年が目安です。

耐用年数に影響を与える要因

実際の耐用年数は、設置環境、施工品質、水質、配管勾配などにも影響されます。その他に下記が挙げられます。

  • 使用材料の品質
  • 定期的なメンテナンスの実施
  • 過負荷や不適切な使用
  • 環境変化(温度、湿度など)

耐用年数を延ばすための対策

  • 定期的な点検とメンテナンスの実施
  • 適切な使用方法の遵守
  • 腐食防止対策や防水処理の施工
  • 早期の異常発見と迅速な修理
  • 高品質な材料の選定

耐用年数に関する法律と規制

日本では、給排水設備の設置や維持に関して建築基準法や水道法などの法律が定められています。これらの法規に基づき、適切な設備選定と維持管理が求められます。違反すると法的措置や罰金の対象となるため、法律の遵守は重要です。

給排水設備工事の方法

給排水設備工事は、建物内外での給水および排水システムの設置・修繕を行う重要な作業です。

工事種類主な作業内容使用する主な材料
宅内工事配管設置、設備の取り付け、検査と調整PVC管、銅管、シーリング材、給湯器など
屋外工事メイン配管の接続、雨水排水システムの設置、ポンプ設備の設置PE管、ポンプ、雨樋、排水溝など

宅内工事

宅内工事では、建物内部における給排水設備の設置や配管作業を行います。

  1. 配管の設計と配置
  2. 配管工事
  3. 設備の取り付け
  4. 検査と調整

屋外工事

屋外工事では、建物外部での給水および排水システムの設置を行います。

  1. メイン配管の接続
  2. 雨水排水システムの設置
  3. ポンプ設備の設置
  4. 外壁の補修と仕上げ

アムコンでは、設備の新設や老朽化に伴う改修など、給排水設備全ての工事を承ることができます。設備状況、改修工事履歴、定期点検記録などから、設備の現状を総合的に把握し、最適な改修工事をご提案します。

設備改修工事について詳細はこちら

まとめ│給排水設備のメンテナンス・点検・工事ならアムコンへ!

給排水設備は、建物内での水の供給と排水を適切に行うシステム全体を指し、大きく「給水設備」と「排水設備」の2つに分けられます。排水設備は、汚水管、雨水管、雑排水管、通気管、排水槽、排水ポンプなどが衛生的で、かつ快適な生活環境を維持するために不可欠です。

設備の耐用年数は、給水管、排水管、貯水槽、ポンプ、給湯器など、素材や種類によって大きく異なります。実際の寿命は、設置環境や施工品質、メンテナンス状況などによって変動します。また、定期的な点検とメンテナンスが耐用年数を延ばすポイントです。

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