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【産業廃棄物の種類(全20種)】定義や具体例を一覧表で徹底解説│企業担当者向け
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【産業廃棄物の種類(全20種)】定義や具体例を一覧表で徹底解説│企業担当者向け

2025.06.02

  • 汚泥処理方法
  • 産業廃棄物

産業廃棄物の種類は法律で細かく定められており、その区分を正しく理解することは、企業活動において非常に重要です。種類によって処理方法や委託基準が異なり、誤った対応には法令違反のリスクを伴います。 本記事では、法令に基づく全20種類の産業廃棄物について、具体例を交えながら分かりやすく解説します。複雑な分類を正確に把握し、適切な処理方法を理解するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

産業廃棄物の2つの種類

事業活動に伴って排出される廃棄物のうち、法令で定められたものを「産業廃棄物」と呼びます。さらに、危険性や処理方法などの要素によって「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」の2つに大きく分けられています。

中でも「特別管理産業廃棄物」には、爆発性や毒性などの危険があることから、より厳格な管理が必要です。 排出事業者の責任として、産業廃棄物を適切に保管・処理するに当たり、産業廃棄物の種類を正しく区別することは不可欠です。ここからは、種類ごとに詳しく見ていきましょう。

①産業廃棄物

産業廃棄物とは、事業活動によって生じる廃棄物のうち、廃棄物処理法で定められた20種類を指します。これらの産業廃棄物は、排出源や特性に基づき、主に2つのカテゴリーに分類されています。

1つ目に「あらゆる事業活動に伴うもの」です。これは業種を問わず、工場・事務所・小売店・飲食店など、すべての事業所から排出される可能性のある廃棄物を指します。例えば、廃プラスチック類の場合、産業廃棄物として扱われます。なお、この区分には、全12種類の廃棄物が含まれています。

2つ目に「特定の事業活動に伴うもの」があります。これは、日本標準産業分類で定められた、特定の業種からの排出時に限り産業廃棄物となる7種類です。例えば、紙くずの場合、建設業や・製本業・パルプ製造業など、特定業種から排出された場合のみ産業廃棄物となります。つまり、一般のオフィスから出る紙くずは、一般廃棄物に分類されるということです。

これらに加え、上記19種類に当てはまらない「その他政令で定める廃棄物」を合わせ、合計20種類が産業廃棄物として定義されています。適正処理のためには、自社から排出される廃棄物がどの種類に該当するのか、正確に把握することが重要です。 次に、特別管理産業廃棄物についてご紹介します。なお、本記事では産業廃棄物に主眼を置いて解説していきます。

②特別管理産業廃棄物

特別管理産業廃棄物とは、産業廃棄物のうち「爆発性、毒性、感染性、その他の人の健康または生活環境に係る被害を生ずる恐れがある性状を有するもの」を指します。これらは、通常の産業廃棄物よりも危険性が高く、人体や環境に深刻な影響を及ぼす可能性があることから、廃棄物処理法によって特に厳しい基準が設けられています。

具体的には、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含む廃油、医療機関から排出される感染性産業廃棄物、特定の事業場から排出される廃酸・廃アルカリなどの廃棄物が該当します。 特別管理産業廃棄物の処理に当たり、専門的な知識と設備、そして特別管理産業廃棄物処理業の許可が必要です。また、排出事業者には、この産業廃棄物の種類を正確に特定し、許可を持つ業者へ適正に処理を委託する責任があります。

産業廃棄物の種類【一覧表】

事業活動から生じる廃棄物のうち、法律で定められたものが産業廃棄物です。これらは環境保全と適正処理の観点から、20種類に細かく分類されています。種類によって処理方法やリサイクルルートが異なり、排出事業者にはそれぞれの区分に応じた適切な対応が求められるためです。

以下の表では、全20種類ある産業廃棄物と、その具体的な例をまとめました。

No産業廃棄物の種類具体例
1燃え殻石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他焼却残さ
2汚泥排水処理後や各種製造業の生産工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による処理後の汚泥、ビルピット汚泥、カーバイドかす、建設汚泥など
3廃油鉱物性油(潤滑油、絶縁油など)、洗浄油、溶剤、タールピッチなど
4廃酸廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類など、すべての酸性廃液。pH7.0より低い酸性の液状廃棄物
5廃アルカリ写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液など、すべてのアルカリ性廃液。pH7.0より高いアルカリ性の液状廃棄物
6廃プラスチック類合成樹脂くず(廃フィルム、廃容器など)、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む) ※固形状・液状のあらゆる合成高分子系化合物を含みます。
7ゴムくず天然ゴムくず
8金属くず鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くずなど
9ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずガラス類(板ガラス、ガラスびんなど)、製品の製造過程などで生じるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、陶磁器くず、廃石膏ボードなど
10鉱さい高炉・転炉・電気炉などの溶解炉かす、鋳物砂、不良石炭、粉炭かすなど
11がれき類工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片、レンガ破片、その他これらに類する不要物
12ばいじん大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設や産業廃棄物焼却施設などで発生し、集じん施設で集められたもの
13紙くず・建設業(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生じる紙くず ・ポリ塩化ビフェニル(PCB)が塗布され、又は染み込んだもの
14木くず・建設業(同上)、木材・木製品製造業(家具製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材卸売業、物品賃貸業から生じる木材片、おがくず、バーク類、輸送に使用したパレットなど
・ポリ塩化ビフェニル(PCB)が染み込んだもの
15繊維くず・建設業(同上)、衣服などの繊維製品製造業以外の繊維工業から生じる木綿くず、羊毛くずなどの天然繊維くず
・ポリ塩化ビフェニル(PCB)が染み込んだもの
16動植物性残さ食料品製造業、医薬品製造業、香料製造業で原料として使用したあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚や獣の内臓・骨などの固形状の不要物
17動物系固形不要物畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとりなどの固形状の不要物
18動物のふん尿畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとりなどのふん尿(畜舎廃水を含む)
19動物の死体畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとりなどの死体
20施行令第2条第13号に定めるもの上記1~19の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記のいずれにも該当しないもの(例:コンクリート固型化物、焼却灰の溶融固化物など)。
参考:「事業活動に伴って発生する廃棄物の処理について」横浜市資源循環局より

あらゆる事業活動に伴う産業廃棄物

浄水場

ここでは、あらゆる事業活動に伴う12種類の産業廃棄物について、具体例を挙げながら説明していきます。

①燃え殻

燃え殻とは、事業活動で廃棄物を焼却した際や、石炭のような燃料を使用した後に残る固形状の焼却残さを指し、産業廃棄物の一種に分類されます。燃え殻は「焼却」という工程を経ることで生じるため、発生を抑える工夫をする必要があるとともに、環境へ配慮した適正な処理が法律で義務付けられているのです。

具体的な例として、石炭火力発電所や工場ボイラーから出る石炭がら(クリンカアッシュ、ボトムアッシュ)、各種焼却施設から排出される焼却主灰、炉の清掃作業時に出てくる固形状の排出物などが該当します。 なお、同じ燃焼工程で生じる「ばいじん」とは明確に異なります。「ばいじん」とは、排ガスに含まれる微細な粒子状物質が、集じん装置によって捕集されたものを指します。一方、焼却炉の底などに残る残さが「燃え殻」です。

②汚泥

汚泥は、工場排水の処理後・各種製造業の生産工程・建設現場など、さまざまな事業活動から排出される泥状の物質の総称です。2022年の調査では、汚泥の発生量は産業廃棄物の約42%ともっとも多く見られました。また、環境保全の観点からも、適切な取り扱いが求められる廃棄物といえます。

汚泥が細かな分類と適切な処理を必要とする主な理由は、その発生源や含有する成分が極めて多岐にわたり、性質が一様ではない点にあります。例えば、有害な重金属・油分・化学物質を含むものもあれば、比較的無害な有機物を主とするものまでさまざまです。

産業廃棄物として扱われる代表的な汚泥として、下水処理場で発生する汚泥や、工場排水処理施設から出る汚泥が挙げられます。工場排水処理施設から出る汚泥としては、例えば、めっき工場からのめっき汚泥(重金属を含むことが多い)、製紙工場のペーパースラッジ、食品工場からの食品汚泥、化学工場からの化学汚泥が該当し、それぞれが特有の成分を含んでいるのが特徴です。

また、建設現場からも汚泥は発生します。例えば、泥水シールド工法やリバースサーキュレーション工法といった掘削工事から出る建設汚泥(ベントナイト泥などを含む)や、しゅんせつ工事で河川や港湾の底から取り除かれる底質汚泥も、産業廃棄物となる場合があります。

一方、主に家庭生活から排出されるような、浄化槽の清掃時に発生するし尿混じりの汚泥や、事業活動でも一般廃棄物として処理されるよう定められた汚泥は、市町村の責任において処理されることが一般的です。

さらに、汚泥の中には、特に慎重な取り扱いが求められる「特別管理産業廃棄物」に該当するものもあります。これは、人の健康や生活環境に被害を与える恐れがある性状を有するもののことです。例えば、水銀・カドミウム・鉛・六価クロム・ヒ素・シアン化合物・ポリ塩化ビフェニル(PCB)・有機リン化合物・ダイオキシン類など、特定の有害物質が法令で定める基準値を超えて含んでいる汚泥が「特別管理産業廃棄物」に当たります。これらを含む汚泥は、通常の産業廃棄物よりもさらに厳格な収集運搬・処理基準が適用されます。

参考:環境省「産業廃棄物排出・処理状況調査報告書令和4年度速報値(概要版)」(P25)    
   特別管理産業廃棄物の判定基準(廃棄物処理法施行規則第1条の2)

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③廃油

廃油とは、事業活動に伴って生じた不要な油全般を指し、産業廃棄物の一種として廃棄物処理法で定められています。

工場や飲食店などのさまざまな事業所から排出される油が、適切に処理されないまま自然界に排出されると、河川や土壌を汚染し、環境に深刻な影響を及ぼす可能性があるためです。こうした環境負荷を低減するため、産業廃棄物としての管理が義務付けられています。

具体的には、機械のメンテナンスで発生する潤滑油や切削油、食品工場や飲食店で調理に使用された動植物油、ガソリンスタンドや自動車整備工場から排出される廃エンジンオイルなどが廃油に該当します。 特に、廃油の中には引火点が70℃未満のガソリンや、灯油といった揮発油類が含まれる場合には、注意しなければなりません。これらは「引火性廃油」として、特別管理産業廃棄物に分類されているためです。

④廃酸

廃酸とは、事業活動によって発生するpH7.0より低い酸性の液状廃棄物のことを指し、法律で定められた産業廃棄物の1つです。

事業所から排出される廃酸には、強い酸性であることから、設備やパイプを腐食させたり、人の皮膚に炎症を起こさせたりする危険性があります。

環境中に放出された場合、河川や土壌の酸性度を変化させ、生態系に悪影響を及ぼす可能性も考えられるため、廃棄物処理法に基づき適正な管理と処理が必要です。

具体的には、化学工場や研究所から排出される薬品排水、金属製品の製造工程で行われるメッキや洗浄などの表面処理後の廃液、食品工場での洗浄排水、自動車の廃バッテリー液が廃酸に該当します。

特に、pHの値が2.0以下を示す強い酸性の廃液は、腐食性が非常に高いため、特別管理産業廃棄物に指定されています。

⑤廃アルカリ

廃アルカリは、事業活動によって生じるpH7.0より高いアルカリ性の液状廃棄物のことです。

事業所から排出される廃アルカリは、アルカリ性の強さによって設備を腐食させたり、人の皮膚や粘膜にやけどを負わせたりする危険性があります。

環境中に放出された場合、河川や土壌のpHバランスを崩し、生態系に深刻な影響を及ぼす可能性も考えられるため、廃棄物処理法に基づき適正な管理と処理が義務付けられています。

具体的な発生源は、染色工場やメッキ工場からの排水、ボイラーやタンクの洗浄に使われた廃液、アルカリ性洗剤の排水、写真現像プロセスで発生する廃液です。 特に、pHが12.5以上を示す非常に強いアルカリ性の廃液は、著しい腐食性を有するため、特別管理産業廃棄物に指定されています。

⑥廃プラスチック類

廃プラスチック類は、事業活動に伴って不要になったプラスチック製品全般を指し、産業廃棄物の主要な種類の1つです。

プラスチックは丈夫で腐敗しにくく、自然界で分解されるのに長い年月がかかるため、不適切に廃棄されると海洋汚染や景観破壊などの環境問題を引き起こします。

また、焼却方法によっては有害物質が発生するリスクもあることから、環境負荷を低減するためにも、産業廃棄物として適正な管理と処理が必要です。 具体的には、工場から出る梱包(こんぽう)材やパレット、製品の端材や不良品、オフィスで使用されたクリアファイルやCDケース、農業用マルチシートなど、さまざまな事業活動から排出されます。合成ゴム製品製造業といった特定の製造業や、合成皮革から出る合成ゴムくずも、廃プラスチック類に含まれます。

⑦ゴムくず

ゴムくずとは、天然ゴムを原料とする事業活動から生じる、固形状の不要物のことです。

ゴム製品は、弾力性や耐久性に優れる特性を持ちますが、自然界での分解速度が極めて遅いことから、不適切な処理は景観悪化や環境汚染の原因となります。

また、不適正な焼却は有害物質の発生を招く可能性があるため、廃棄物処理法に基づき、厳格な管理と処理が義務付けられています。 具体的には、製造工程で発生する天然ゴムの端材・ゴム引布くず、エボナイトくずなどが該当します。

⑧金属くず

金属くずは、事業活動に伴って排出される不要な金属全般を指し、鉄・アルミニウム・銅・ステンレスなど、さまざまな種類の金属を含む産業廃棄物の1つです。

これらの金属くずは、そのまま自然環境に放置されると、土壌や地下水を汚染したり、鋭利な破片によって危険を引き起こしたりする可能性があります。

また、金属は有限な資源であるため、資源の枯渇を防いで循環型社会を構築する観点からも、産業廃棄物として適切に回収され、リサイクルされることが望ましいといえます。 具体的な発生源は、製品の製造工程で発生する金属の切削くずや端材、建設・解体工事で出る鉄骨や配管、アルミサッシなどの建築系金属くずなどです。

⑨ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず

ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずは、事業活動に伴って不要となった固形の産業廃棄物です。これらの素材は、自然界で分解されにくく、環境負荷となるため、適正な処理が求められます。 具体的には、製造工程くずやガラス瓶、食器などの素材が該当します。特に重要なのは「がれき類」との区別です。建設・解体工事から出るコンクリート破片や瓦、窓ガラスくずは、同じ素材であっても、発生源により「がれき類」に分類される場合があります。そのため、事業者は発生源で正しく分類し、法令を順守した処理が必要です。

⑩鉱さい

鉱さいとは、溶鉱炉や溶解炉などで鉄などの金属を精錬する際に発生する不純物です。目的成分以外が溶け合い、高温の物質が冷え固まったものを指します。これらは主に、製鉄所・非鉄金属精錬所・化学工場など、さまざまな事業活動から排出されるものです。

鉱さいを細かく見てみると、製鉄工程で生じる高炉スラグや製鋼スラグ、銅スラグやフェロニッケルスラグ、粉灰かすまで、発生源によって多岐にわたります。鉱さいに含まれる成分によっては、有害物質を含んでいる可能性があるため、不適切に処理されると、土壌や水質汚染など環境に悪影響を及ぼす恐れがあります。 なお、一部の鉱さいは、有害物質の混入をあらかじめ抑制することで、セメント原料や路盤材に再利用されています。

⑪がれき類

がれき類とは、建築物の建設や改築、除去といった工事に伴い発生する、コンクリート・アスファルト・レンガなどの廃材です。主に、建設現場から排出されます。

がれき類は大量に発生し、不適切に扱われると環境汚染や有害物質によるリスクがあるため、産業廃棄物に指定されています。代表的な例は、解体現場のコンクリート塊です。しかし、同じ素材であっても、製造工程由来の廃棄物は「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」に分類されるので注意が必要です。 事業者は、種類をきちんと把握し、適切な分別・リサイクルを行い、許可業者によって適正処理する義務があります。マニフェストによる管理も徹底しましょう。

⑫ばいじん

ばいじんとは、物の燃焼や溶解などに伴って発生する微細な粒子状の物質のうち、煙突などから大気中に排出される前に、集じん施設によって捕集された粉状の産業廃棄物です。

ばいじんは発生源により、カドミウムや鉛などの重金属、ダイオキシン類といった有害物質を含んでいる可能性があります。そのため、飛散すると、人の健康や環境に悪影響を及ぼしかねません。

ばいじんが発生するのは、主に「大気汚染防止法」や「ダイオキシン類対策特別措置法」で定められた、ばい煙を排出する特定の施設です。発生施設の具体例として、火力発電所、各種工場のボイラーや溶解炉、セメント焼成炉、産業廃棄物の焼却施設が挙げられます。これらの施設で集められたばいじんが、産業廃棄物とされているのです。 また、企業が飛散防止対策を徹底し、法律に基づいた適正な方法で中間処理や最終処分することが、環境保全とコンプライアンス順守のためには重要です。

特定の事業活動に伴う産業廃棄物(7種類)

産業廃棄物

次に特定の事業活動に伴う7種類の産業廃棄物について、具体例を挙げて説明します。

⑬紙くず

紙くずが産業廃棄物となる場合は、特定の事業活動(工作物の新築、改築、除去など建設工事)に伴って発生したもの、または廃棄物処理法施行令で定められた特定の業種(パルプ製造業、製紙業、紙加工製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業)から発生したものに限られます。

一般的なオフィスから出る使用済みのコピー用紙などは、事業系一般廃棄物に当たります。

具体例として、建設現場で梱包や養生に使われた紙、壁紙、石膏ボードの台紙が挙げられます。また、パルプ・製紙工場や、印刷・製本工場から出る損紙や断裁くずなども、産業廃棄物です。

一方、同じ事業者から排出されても、オフィスの紙は一般廃棄物として扱われます。

ただし、ポリ塩化ビフェニル(PCB)が塗布または染み込んた紙くずは、業種にかかわらず特別管理産業廃棄物としての廃棄が必要です。

⑭木くず

木くずが産業廃棄物となるのは、工作物の新築、改築、除去といった建設工事に伴って発生したもの、または廃棄物処理法施行令で定められた特定の業種から排出されるものに限られます。ここでいう特定の業種とは、木材・木製品製造業(家具製造業含む)や、パルプ製造業、輸入木材の卸売業、物品賃貸業です。

ただし、ポリ塩化ビフェニル(PCB)が染み込んだ木くずは、発生源の業種・事業活動にかかわらず、多くの場合は特別管理産業廃棄物とされます。

木くずが産業廃棄物に区分されるのは、発生量が多く異物混入がある建設廃材や、大量発生かつ特殊成分を含む製造工程の木くずなど、一般木くずと性質や処理が異なるためです。 具体的な例として、建設現場の解体木材や梱包材、木材加工・パルプ・輸入木材卸売業で出る加工くずが挙げられます。

⑮繊維くず

繊維くずが産業廃棄物となるのは、工作物の新築・改築・除去などの建設工事に伴って発生した、または廃棄物処理法施行令で定められた特定の業種から発生した天然繊維くずに限られます。ここでいう特定の業種とは「衣類その他の繊維製品製造業」以外の繊維工業です。

天然繊維くずは、建設工事による異物混入のリスクや、特定の工場での大量発生など、一般の繊維ごみとは異なる性質を持ちます。そのため、適切な処理や管理が必要となるのです。

天然繊維くずの具体例は、建設現場の天然繊維シートやロープくず、紡績工場での天然繊維端材です。なお、混同されやすい合成繊維くずは、扱いが異なります。ナイロンやアクリルといった素材は、発生源にかかわらず「⑥廃プラスチック類」に分類されます。 繊維くずも、ポリ塩化ビフェニル(PCB)が染み込んだものは、発生源の業種・事業活動にかかわらず、多くの場合は特別管理産業廃棄物とされます。

⑯動植物性残さ

動植物性残さが産業廃棄物となるのは、食料品製造業・医薬品製造業・香料製造業など、廃棄物処理法施行令で定められた業種から発生した固形状のものに限られます。このほかの事業活動から出る動植物性残さは、事業系一般廃棄物です。

特定の発生源から出る動植物性残さは、発生量が多く腐敗しやすいため、悪臭や病原菌の発生、害虫の誘引、水質汚染といった衛生・環境上のリスクが高い性質を持ちます。そのため、産業廃棄物として特別な管理と処理が必要です。

産業廃棄物としての動植物性残さには、食品製造工程で生じる野菜くず・魚のアラ・食肉加工残さ・おから・酒粕などがあります。

また、医薬品や、香料製造工程で植物や動物を処理した後に残る固形状の不要物も、動植物性残さに含まれます。重要なのは「固形状」である点です。 例えば、液体状の食用油は「廃油」に、食品工場の排水処理で出る泥は「汚泥」に分類され、動植物性残さではありません。

⑰動物系固形不要物

動物系固形不要物が産業廃棄物となるのは、と畜場または食鳥処理場などの廃棄物処理法施行令で定められた特定の業種から発生した、固形状のものに限られます。これ以外の事業活動から出る同様の廃棄物は、事業系一般廃棄物です。

特定の発生源から出る動物系固形不要物は、病原菌や感染性物質が付着している可能性があり、腐敗しやすく、衛生・公衆衛生において高いリスクを持つためです。

具体的な動物系固形不要物には、食肉処理場や食鳥処理場で発生する骨・皮・臓器といった固形状の残さが含まれます。重要なのは「固形状」であるという点です。 例えば、動物の解体時に出る血液や洗浄水は、pH値によって廃酸または廃アルカリに分類され、動物系固形不要物とは異なります。一般の飲食店や家庭から出る食肉の骨は、一般廃棄物として扱われます。

⑱動物のふん尿

動物のふん尿のうち産業廃棄物となるのは、牛・豚・鶏を飼育する畜産農業から発生するものに限られます。動物園・ペットショップ・動物病院など、畜産農業以外の事業活動から排出される動物のふん尿は、事業系一般廃棄物です。

畜産農業では大量のふん尿が発生するため、適切に処理されない場合は、悪臭や病原菌が拡散される可能性があります。さらには、有害物質による河川・地下水・土壌の汚染など、深刻な環境問題を引き起こすリスクも非常に高いため、産業廃棄物として法的に厳しく管理されるのです。

⑲動物の死体

動物の死体のうち産業廃棄物となるのは、牛・豚・鶏などの動物を飼育する畜産農業から発生したものに限られます。動物園やペットショップ、動物病院、試験研究機関など、畜産農業以外の事業活動から排出される動物の死体には当てはまりません。

畜産農業では、家畜の大量飼育に伴い、病死・事故死・伝染病によって大量の死体が生じるリスクがあります。死体は腐敗しやすく、悪臭や病原菌の拡散など、衛生上および公衆衛生上のリスクが非常に高いため、産業廃棄物として管理されます。 特に、伝染病が発生した場合は、感染拡大防止のため、家畜伝染病予防法に基づいた処理が求められます。

その他の産業廃棄物(1種類)

その他の産業廃棄物について、具体例とともに説明していきます。

⑳法施行令第2条第13号に規定する産業廃棄物

産業廃棄物の20種類目の分類は、廃棄物処理法施行令第2条第13号に規定される産業廃棄物であり、通称「13号廃棄物」と呼ばれます。

これは、ほかの19種類の産業廃棄物を処分するために処理した結果発生したもので、かつ処理後の性状がほかの19種類のいずれにも該当しないものを指します。

それでは、なぜ「その他の産業廃棄物」という分類が必要なのでしょうか。産業廃棄物は、焼却・破砕・固化といった中間処理をすることで、処理前の元の産業廃棄物とはまったく異なる性状や組成になる場合があるためです。

処理によって元の分類に当てはまらなくなった廃棄物も、適切に管理・処分する必要があることから、この「13号廃棄物」という包括的な分類が設けられています。

13号廃棄物の典型的な例としては、汚泥や燃えがらをセメントや薬剤で固めて安定化させたものです。これらは、処理前の汚泥や燃えがらとは異なり、ほかのどの産業廃棄物にも明確に分類できないと13号廃棄物となります。 中間処理の過程で発生するような、性状が変化した複合的な廃棄物がこの分類に該当します。

まとめ│産業廃棄物の種類を理解し適正処理に努めましょう

産業廃棄物は、燃え殻をはじめ、汚泥や廃油など全20種類に分類され、適切に処理することが法律で義務付けられています。種類ごとに性質や処理方法が異なるため、正確に理解することが重要です。 産業廃棄物を適正に処理し、環境汚染を防ぐことは、企業の法令順守にもつながります。産業廃棄物の種類を把握し、責任ある対応を心掛けましょう。

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